アーボエレクトロ(ArborElectro)の仕組みと測り方──電気の通りやすさで幹の断面を描き、腐朽の初期を探るインピーダンストモグラフを樹木医が解説

アーボエレクトロ ArborElectro インピーダンストモグラフ 電気抵抗 幹 電極 樹木診断 樹木医

アーボエレクトロ(ArborElectro)は、幹に打った最大32本の針に電気を流し、断面の電気抵抗の分布を描くファコップ社のインピーダンストモグラフです。仕組みと測り方、健全な木の模様と見比べる読み方、季節で値が変わる点を、メーカーの資料と研究をもとに樹木医が解説します。

ハンガリーのFakopp(ファコップ)社の樹木診断機器をひとつずつ取り上げる連載の第3回です。第1回でファコップ社の成り立ちを、第2回で音で幹の断面を描くアーボソニック3Dを取り上げました。今回は、同じ断面を「電気」で描く機器です。電気抵抗で断面を描く考え方は、IML連載の第5回で取り上げたトロニックと共通しています。この回は、ファコップ社の取扱説明書と公開資料、同社の研究者の論文をもとに紹介します。

先に答え

  • アーボエレクトロは、幹のまわりに打った16〜32本の針を電極にして、2本で電流を流し、別の2本で電圧を測る組み合わせを順に替えながら、断面の電気抵抗(単位はΩ·m)の分布を計算して画像にする機器です。2018年に発表されました。
  • 電気抵抗は、材に含まれる水分とイオンの量で変わります。メーカーは、材の密度がまだ変わらない腐朽の初期でも違いが出るため、音のトモグラフより先に菌の侵入をとらえられるとしています。
  • 健全な木でも断面は均一ではなく、模様は樹種で違います。読み方の基本は、同じ樹種の健全な木の画像と模様を見比べることです。
  • 抵抗の値は気温や季節で大きく動きます。メーカーの研究者がブナ1本を1年あまり測った例では、断面のある領域の値が冬と夏で2倍以上違いました。
  • 画像は、電極の数、最大電極間隔、断面の形の入れ方、電池の残りでも変わります。比べるときは条件をそろえます。
アーボエレクトロ ArborElectro 幹 電極 針 ワニ口クリップ 黒 赤 本体 ねじ 樹木診断 図解

アーボエレクトロの測定。幹にねじで本体を掛け、幹のまわりに打った針に黒と赤のクリップを番号順につなぐ(イラストは当社作成)

 

アーボエレクトロとは──電気の通りやすさで断面を描く

取扱説明書(2018年12月版)によると、アーボエレクトロはFakopp社がハンガリーのGeoelectro社と共同でつくった機器です。名前の「エレクトロ」のとおり、音ではなく電気で幹の中を調べます。方法は地球物理の分野で地下を調べる電気探査から来たもので、手を加えて生きた木に使えるようにした、と書かれています。

電気抵抗が変わる理由として、取扱説明書は、水分やイオンの量の違い、偽心材、傷み、菌の存在を挙げ、材の変色、水の通り道、辺材と心材も調べられるとしています。そのうえで、菌に侵されても材の密度がまだ変わらないうちから違いが出るので、ほかのトモグラフより先に感染をとらえられる、と説明しています。これはメーカーの主張で、どの程度先にとらえられるかの数字は示されていません。

4本の電極の組で測る

測るときは、2本の電極(A・B)から木に電流を流し、別の2本(M・N)で電圧を測ります。断面の中に電気を通しやすい部分があると、電気の流れ方が変わり、測れる電圧が変わります。アーボエレクトロは、この4本の役割を順に替えながら測り続け、集めた値からソフトが断面の抵抗の分布を計算します。

インピーダンストモグラフィ 原理 電流 電圧 等電位線 均質な断面 電気を通しやすい部分 図解

左は均質な断面、右は中に電気を通しやすい部分がある断面。電流の流れ方(等電位線)が変わり、外周で測れる電圧が変わる(仕組みを示す模式図。当社作成)

Fakoppの研究者による論文(Buza & Divós、2022年)によると、呼び名は「インピーダンス」ですが、実際に測っているのは直流です。生きた材が分極するのを避けるため、1秒に4回、電流の向きを切り替えています(2ヘルツの矩形波)。そのため、交流で測るような成分(虚数成分)は測っていない、と著者たち自身が書いています。

音はおおむね2本のセンサーの間をまっすぐ進むと考えられますが、電気の流れは曲がって広がります。そのため画像は、測った値と合う分布を、計算を繰り返して探して求めます(手引き、2021年)。

アーボエレクトロ 電極 16本 役割 電流 A B 電圧 M N 入れ替え 図解

16本で測るときの例。電流を流す2本(A・B)と電圧を測る2本(M・N)の組を、幹のまわりで順にずらしていく(模式図。当社作成)

構成と仕様

取扱説明書(p.5〜8)によると、アーボエレクトロは一つのケースに次の部品が入っています。

部品 役割
本体(GeoPic-32 多電極抵抗計) 電流を流し電圧を測る、パソコンとはケーブルか Bluetooth でつなぐ
電極接続ケーブル 4本 1本に番号付きのワニ口クリップが8個、背面の Ch 1-8・9-16・17-24・25-32 に差す
電極(針)50本 直径1.5mm・長さ63mm、ステンレス(SS304)、頭は四角
電極の抜き取り具 針を曲げずに抜く
鋼のハンマー、巻尺 針を打つ、針の位置を決める
ねじ5本、ドライバー 本体を木に留める
パソコン接続ケーブル、充電ケーブル、ケース データの受け渡し、充電、持ち運び
アーボエレクトロ 本体 GeoPic-32 多電極抵抗計 前面 背面 差し込み口 Ch 1-8 9-16 17-24 25-32 図解

本体の前面(左)と背面(右)。背面の4つの差し込み口に、電極のケーブルを番号の範囲ごとにつなぐ(イラストは当社作成)

電気の数値の仕様は、取扱説明書(p.6)と製品ページで同じです。重さや時間などは、資料によって書いてあるものが違います。

項目 内容
電極の数 16〜32本の偶数(取扱説明書は16・24・32本をふつうの数としている)
かける電圧 5〜50V、5V刻み
電流を測る範囲 0〜20mA、0〜400µA、0〜40µAの3段階
基本の測定1回の長さ 640ミリ秒
電池 内蔵の5V・5000mAhのリチウムイオン電池
電池で動く時間 取扱説明書では満充電でケーブル接続なら最大で約15時間(Bluetooth では短くなる)、製品ページでは連続の運転で約2時間(平均的な太さの木で)
使える温度 0〜40℃
重さ 約6kg(パソコンを除く、ケースとハンマー込み、製品ページ)
1断面にかかる時間 製品ページでは取り付けと形の登録を含めて45分、メーカーの研究者らがまとめた手引きでは16本で約15分

本体には画面がなく、操作も計算もパソコンのソフト(Windows)で行います。取扱説明書は、パソコンを置く折りたたみの机を現場に持って行くよう勧めています。

アーボエレクトロ 構成 ケース 本体 電極ケーブル ワニ口クリップ 針 ハンマー 抜き取り具 巻尺 ねじ ドライバー 図解

アーボエレクトロの構成。本体、電極のケーブル4本(先は黒と赤のクリップ)、針、ハンマー、抜き取り具、巻尺、ねじとドライバー(イラストは当社作成)

測り方──針を打ち、番号どおりにつなぐ

取扱説明書(p.28〜31、p.37)に書かれている流れをまとめます。

  1. 木と高さを選ぶ: 地際に近すぎる高さは勧めないとされています。西ハンガリー大学(ショプロン)の研究者の論文(Buza & Göncz、2015年)は、地面から幹の直径より低い所は結果が不確かになるとして、直径40cmの木なら40cmより上で測る例を挙げています。
  2. 本体を留める: 測定面の上か下に、ねじを約45°で打ち込み、本体を掛けます。
  3. 断面の形を入れる: 測る面に巻尺を巻き、ソフトに電極の数と形(円・楕円・不規則)を入れます。円か楕円なら、ソフトが針を打つ位置を計算して示します。
  4. 針を打つ: 樹皮に直角に、樹皮を貫いて材まで打ち込みます。樹皮は電気を通さないためです。針の貫入深さと樹皮の厚さもソフトに入れます。
  5. 巻尺を外し、クリップをつなぐ: 1番から順に、1本の針に1つずつクリップをつなぎます。
  6. 測る: ソフトが、電圧と感度を幹に合わせて決めてから測り始めます。
  7. 保存し、画像を計算する: 時間があれば、その場で低い解像度で計算して木の状態を確かめ、機器を外して針を抜きます。
アーボエレクトロ ワニ口クリップ 針 歯の間 正しい付け方 誤った付け方 図解

クリップは、針を歯の間にしっかり挟む(右)。歯の下に入っただけでは接触が悪い(左)(イラストは当社作成)

クリップの色と順番

クリップは奇数が黒、偶数が赤です。1番の黒いクリップを本体の近くの針から始め、針を飛ばしたり順番を入れ替えたりしないよう、取扱説明書は念を押しています。針はクリップの歯の間に挟み、歯の下に入っただけにしないこと、とも書かれています。値がありえない範囲になると測定は自動で止まり、エラーに出た番号とその隣の針から確かめるよう求めています(p.16)。

断面の形と、ブルートゥースキャリパー

形を「不規則」にしたときは、針を打ってから、決まった針どうしの距離を測ってソフトに入れます。電極の数によって最大61か所です。取扱説明書は、1番と9番(電極の数によっては13番・17番)の針から、ほかの針までの距離を測るよう勧めています。この距離は、Fakopp社のブルートゥースキャリパーで測り、ソフトに直接送ることもできます。ブルートゥースキャリパーは当社も使っている機器で、次回くわしく取り上げます。

アーボエレクトロ 断面の形 円 楕円 不規則 電極の位置 距離 測り方 図解

断面の形の入れ方。円は幹周、楕円は2つの軸と幹周、不規則は針どうしの距離を測って入れる(模式図。当社作成)

メーカーの研究者らがまとめた手引き(2021年)は、この方法は形に非常に敏感なので、いつも実際の形を測って使うよう書いています。

測っている間の注意

取扱説明書(p.35)の注意のうち、樹木医として押さえておきたいものを挙げます。

  • 測っている間は木に触れない
  • 電気を測る前に、ほかのセンサーを木から外す。音と電気の測定を同じ木で同時に始めない
  • 0℃未満か40℃を超える時は使わない。嵐、雨、霧の中でも使わない
  • 曲がった針、折れた針は使わない。針を打つときと抜くときは手足に気を付ける
  • 前に測った木が感染していると病気を移すおそれがあるので、針を消毒してから測る

設定と解析──最大電極間隔と、計算の確かさ

ソフトの測定の画面では「最大電極間隔」を決めます。電流と電圧の役割を持つ電極どうしが、最も離れていい間隔のことです。取扱説明書は、ソフトが示す値のままにすることを勧め、電極の数に対して小さすぎると結果が信頼できなくなるとしています。研究者の発表資料では、最大電極間隔7で224回、8で256回の基本の測定をした例が示されています。基本の測定1回は640ミリ秒なので、256回なら単純な掛け算で約2分44秒です。実際には、これに電圧と感度を決める時間が加わります。

画像の計算は、断面を小さな三角形に分けて行います。取扱説明書によると、32本で解像度「低」にすると、三角形は約900個です。電極の数や解像度、パソコンによっては50分以上かかることもあり、形を不規則にすると最初の分割にも数分かかるとされています。計算の後には「Uncertainty(不確かさ)」の値が出ます。取扱説明書は、これが1.0を超えたら結果を信用しないよう求めています。

画像を変えるもの メーカーの資料が求めること
電極の数と最大電極間隔 どちらも同じときだけ、画像どうしを比べられる
断面の形 いつも実際の形を測って入れる
電池の残り 少ないと誤った画像になることがある、4.94V を下回ったら次の測定を始めない
計算の不確かさ Uncertainty が1.0を超えたら結果を信用しない
地際からの高さ 地際に近すぎる高さは避ける

出典: 取扱説明書 p.15・17・23・28、手引き(2021年)p.45、Buza & Göncz 2015

読み方──同じ樹種の健全な木と見比べる

取扱説明書の例の画像では、青が抵抗が低い(電気を通しやすい)所、赤が抵抗が高い所です(色の組み合わせはソフトで切り替えられます)。取扱説明書は、抵抗の低い所は活動中の菌を示すことがあるとしています。

ただし、健全な木でも断面は均一ではありません。取扱説明書と手引きには健全な木の画像の例が載っていて、手引きは、健全なドイツトウヒは中心に抵抗の高い所があり、健全なクリには中心の高い所がない、と説明しています。死に節や、傷に反応した材も色の違いとして写ります。そのため、メーカーの研究者は、まず同じ樹種の健全な木の画像を測っておき、その模様と比べて読むよう書いています。2022年の論文は、健全な模様と違えば、自由に動けるイオンの分布が違うということで、多くは傷や菌、枝の跡を示す、としています。

自動の目盛と、そろえた目盛

ソフトの目盛を自動(Auto scale)にすると、その断面の最小の値が一方の端、最大の値がもう一方の端になります。手引きは、値ではなく模様を比べるので、たいていは自動の目盛でよいとしています。一方で、健全な木と被害のある木を並べて比べるときは、目盛をそろえると違いがはっきりする、と取扱説明書は例を示しています。目盛を手で決めれば、狭い範囲の小さな違いを強調することもできます。

アーボエレクトロ 電気抵抗 断面画像 自動の目盛 同じ目盛 健全 被害 比較 模式図

上は自動の目盛、下は2枚の目盛をそろえたとき。そろえると、右の木の青い所(抵抗が低い所)が目立つ(模式図。値と模様は説明のための例。当社作成)

音の画像とは見ているものが違う

手引き(2021年)は、白色腐朽の初期にはリグニンが分解されてもセルロースが残るため、音がほとんど遅れずに通り、音のトモグラフに写らないことがあるとしています。なお、米国農務省 林産物研究所の木材の手引き(Wood Handbook)は、白色腐朽菌はふつうリグニンとセルロースの両方を分解するとしたうえで、初期の強度の低下は褐色腐朽の方が大きいと説明しています。ナラタケの仲間に侵されたトネリコで、音の画像には異常がなく、電気の画像に抵抗の低い所が出た例も載っています。トウヒ、トネリコ、ポプラ、クリ、シダー類、ナラでも同じような現象を見たと書かれています。

一方で、Buza氏とGöncz氏の論文(2015年)は、ナラタケに侵された92年生のドイツトウヒと、1.7m離れて立つ健全なトウヒを、音と電気(24チャンネル、3つの高さ)で比べています。電気の画像にも違いは出ましたが、抵抗の違いは腐朽にも水分にも起こりうるので、電気の画像だけで腐朽の位置を決めるのは難しく、空洞や腐朽の位置は音の画像の方がはっきりしている、と考察しています。電気は「何かが違う」ことを早く示し、音は「どこがどれだけ弱いか」を示す、と分けて考えると、両方の資料の言うことが整理しやすいと考えています。

白色腐朽 初期 音 通る 電気 通りやすい 断面 樹木 図解

白色腐朽の初期には、音はほとんど遅れずに通ることがある。電気は、水分やイオンの多い所を通りやすい(仕組みを示す模式図。イラストは当社作成)

電気抵抗トモグラフィ全般の研究(伐倒して確かめた検証、樹種ごとの模様、水食い材など)は、IML連載の第5回にまとめました。考え方は機器が違っても共通しているので、あわせて読んでいただければと思います。

季節と時間で、値はどれだけ動くか

メーカーの研究者は、同じブナ1本を、2018年3月から2019年6月までに12回測り、断面の中の5つの領域の値を追いました(発表資料、2019年)。結果の一部を抜き出します。

測った日 気温 領域1の抵抗 領域5の抵抗
2018年3月23日 2.4℃ 1,265.8Ω·m 137.1Ω·m
2018年7月2日 16.8℃ 536.7Ω·m 82.9Ω·m
2019年1月7日 -0.2℃ 1,245.3Ω·m 132.4Ω·m
2019年2月7日 1.6℃ 1,308.1Ω·m 144.2Ω·m
2019年6月12日 27.0℃ 579.2Ω·m 88.7Ω·m

出典: Buza & Divós「”Time-lapse” case study of impedance tomography on beech」発表資料(2019年)p.27 の表から抜き出し

アーボエレクトロ ブナ 電気抵抗 季節 気温 1年 変化 グラフ

同じブナを1年あまり測ったときの、領域1と領域5の抵抗と気温。寒い時期ほど抵抗が高い(Buza & Divós 2019 の表の値で当社作成)

領域1では冬と夏で2倍以上、領域5でも約1.7倍違います。資料は、領域1の抵抗と気温の関係を決定係数0.82と示しています。それでも、画像の模様そのものは測るたびに同じように現れ、クリップを4本分ずらしてつなぎ直すと模様も回った、と報告しています。模様が測り方の癖ではなく、木の中にあるものだと確かめた試みです。手引きも、季節の変化は気温に関係するが模様には影響しないはず、としています。

同じブナを25時間、1時間ごとに測った例では、日中の小さな値の変化が光の強さと似た動きをしたと報告されています。まだ研究の段階ですが、決まった間隔で自動で測り続けるプログラム(ArborElectro Scheduler)も公開されています。

同じ木を年をおいて比べるなら、同じ季節に、同じ電極の数と設定で測り、目盛をそろえて比べる必要があります。

当社の考え方

当社は、ファコップ社のアーボソニック3Dとブルートゥースキャリパー、IML社のピカスとトロニックを使い、外観診断で内部の異常が疑われた樹木の断面を診ています。アーボエレクトロについての資料を読んで改めて感じたのは、電気の画像は、まず同じ樹種の健全な木の模様を知っておくことが前提になる、という点です。日本の街路や公園でよく診るケヤキ、サクラ、イチョウなどの模様は、今回読んだメーカーの資料には例がありませんでした。

電気の画像は、音の画像に写る前の変化を示すことがある一方で、その原因が腐朽なのか水分なのか、画像だけでは決められません。当社では、断面の画像は1枚で答えを出すものではなく、音と電気、外観、樹種、測った季節をあわせて読むものと考えています。

株式会社トシ・ランドスケープのツリーリスクアセスメント(樹木診断)部門では、樹木医が外観診断から機器診断、報告書の作成、その後の管理計画までを一貫して担当しています。幹や根元の内部が気になる樹木がありましたら、樹木診断のサービスページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからのご相談をお待ちしています。

次回は、トモグラフの測定点の距離を測り、そのままソフトへ送るブルートゥースキャリパーを取り上げます。

 

株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊

 

よくあるご質問(アーボエレクトロ ArborElectro について)

Q1. アーボエレクトロでは何を測りますか?

A. 幹の断面の電気抵抗の分布です。幹のまわりに打った針のうち2本で電流を流し、別の2本で電圧を測る組み合わせを順に替えながら測り、ソフトが断面の抵抗の分布を計算して画像にします。

Q2. 電極は何本使いますか?

A. 16〜32本の偶数です。取扱説明書は16・24・32本をふつうの数としています。電極の数と最大電極間隔が違う画像どうしは比べられないとされています。

Q3. 「インピーダンス」とありますが、交流で測るのですか?

A. メーカーの研究者の論文によると、実際は直流で、材の分極を避けるために1秒に4回電流の向きを切り替えています。交流で測るような成分は測っていない、と著者たち自身が書いています。

Q4. 腐朽の初期が分かるのは本当ですか?

A. メーカーは、材の密度が変わる前でも違いが出るため、音のトモグラフより先に菌の侵入をとらえられるとしています。ただし、抵抗の違いは水分などでも起こるので、電気の画像だけで腐朽の位置を決めるのは難しいとする研究もあります。

Q5. 健全な木なら、画像は一色になりますか?

A. なりません。健全な木でも断面は均一ではなく、模様は樹種で違います。まず同じ樹種の健全な木の画像を知っておき、その模様と比べて読みます。

Q6. 季節や天気で結果は変わりますか?

A. 値は大きく変わります。同じブナを1年あまり測った例では、ある所の値が冬と夏で2倍以上違いました。模様は保たれたと報告されていますが、比べるときは同じ季節・同じ設定で測ります。0℃未満と40℃超、雨や霧の中では使わないよう取扱説明書は求めています。

Q7. 測るのにどのくらい時間がかかりますか?

A. 製品ページは、取り付けと形の登録を含めて1断面45分としています。メーカーの研究者らがまとめた手引きには、16本で約15分とあります。画像の計算は、電極の数や解像度、パソコンによって50分以上かかることもあります。

 

出典・参考情報

メーカーの資料(いずれも2026年10月に確認)

・Fakopp「ArborElectro Impedance Tomograph」製品ページ(英語) 原理、仕様、重さ、使える温度、1断面の時間
・Fakopp Enterprise「Manual for the ArborElectro impedance tomograph」ver1.0.6(2018年12月、PDF・英語) 製造元と原理(p.3〜4)、構成と仕様(p.5〜8)、電極の数と断面の形(p.11〜14)、最大電極間隔(p.15)、解析と不確かさ(p.18〜23)、測り方(p.28〜31)、読み方(p.32〜34)、注意(p.35)
・Fakopp「Usage of ArborElectro Scheduler」(PDF・英語)
・Buza, Á.K. & Divós, F.「”Time-lapse” case study of impedance tomography on beech」発表資料(2019年9月、PDF・英語) ブナの繰り返し測定の表(p.27)、気温との関係(p.29)
・Fakopp「About us」(英語) 2018年の発表

解説・研究

・Divós, F., Buza, Á.K., Bejó, L., Kolařík, J. ほか (2021) Advanced tree assessment – manual for professionals: Instrumental tree assessment. Dobre Kadry / FAKOPP ENTERPRISE(PDF・英語) 電気インピーダンストモグラフィ(p.43〜45)、音と電気の比較の例(p.57〜58)、時間を追った測定(p.59)
・Buza, Á.K. & Divós, F. (2022) Akusztikus és elektromos impedancia tomográfiás vizsgálatok lakott környezetben élő fákon – törési biztonság megítélése. Anyagvizsgálók Lapja 2022/1: 14–20(ハンガリー語)
・Buza, Á.K. & Göncz, B. (2015) Comparison of trees and NDT methods. Wood Research 60(1): 45–58(西ハンガリー大学。PDF・英語) 測る高さ(p.53)、健全な木の3つの模様(p.54)、電気の画像と腐朽の位置(p.55〜56)
・Arango, R.A., Lebow, S.T. & Glaeser, J.A. (2021) Chapter 14 Biodeterioration of Wood. Wood Handbook, FPL-GTR-282. USDA Forest Service, Forest Products Laboratory(PDF・英語) 腐朽(p.14-3〜14-6。白色腐朽菌がリグニンとセルロースを分解する説明は p.14-4、初期の強度の低下は p.14-6)

 

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サービス

・樹木診断(ツリーリスクアセスメント部門)
・GREEN MANAGEMENT

 

※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は Frank Rinn 氏(ドイツ)の登録商標(製品は RINNTECH 社)で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。

※ ArborElectro、ArborSonic 3D、PiCUS などの製品名は、各社の商標または登録商標です。Bluetooth は Bluetooth SIG, Inc. の登録商標です。

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