ブルートゥースキャリパー(Fakopp Bluetooth Caliper)は、アーボソニック3Dやアーボエレクトロで、幹に付けたセンサーどうしの距離を測って無線でパソコンへ送る道具です。形の入力が断面画像を左右する理由、校正と測り方、腕が届かない太い幹の測り方を、取扱説明書と研究をもとに樹木医が解説します。
ハンガリーのファコップ(Fakopp)社の樹木診断機器をひとつずつ取り上げる連載の第4回です。第2回では音で幹の断面を描くアーボソニック3Dを、第3回では電気で断面を描くアーボエレクトロを取り上げました。今回は、その2つの機器の画像の土台になる「幹の形」を測る道具です。当社はアーボソニック3Dとあわせて、このブルートゥースキャリパーを持っています。
先に答え
- ブルートゥースキャリパーは、2本の腕の先のピンのあいだの距離をmm単位で測り、Bluetoothでパソコンへ送る道具です。アーボソニック3Dのセンサーや、アーボエレクトロの電極の位置を登録するのに使います。
- 音の速さは「距離 ÷ 時間」で計算されます。距離の入力が1割違えば、その組の音の速さも1割違います。円や楕円で表せない幹では、センサーどうしの距離を実際に測ることが、断面の画像の正確さにつながります。
- 測る組と順番はソフトが決め、パソコンのスピーカーが「2と1のあいだを測ってください」と読み上げます。ピンの先を、センサーの釘が樹皮に入る点に当て、ボタンを短く押します。
- 腕だけで約1.0〜1.1m、延長の腕を足すと1,999mmまで測れます(資料によって腕だけの値が違います)。使う前に、ピンを合わせた位置と最大に開いた位置で校正します。
- キャリパーが届かない太い幹には、センサーごとに3つ隣までを測る「Irregular 3」という方式があります。取扱説明書の表では、ほぼ円い幹にセンサーを等間隔に付けた場合、2mのキャリパーとセンサー12個で幹の直径2.74mまでが目安です。

ブルートゥースキャリパー。丸い表示部から2本の黒い腕が開き、腕の先のピンのあいだの距離を測る(イラストは当社作成)
ブルートゥースキャリパーとは──センサーどうしの距離を測って送る道具
取扱説明書は、この道具を「2点のあいだの距離をmm単位ですばやく測り、その値をBluetoothでパソコンに送る道具」と説明しています。目的は、幹の不規則な形と、アーボソニック3Dのセンサー、アーボエレクトロの電極の位置を、速く登録することです。製品ページでも、アーボソニック3Dとアーボエレクトロのソフトに組み込まれた道具として紹介されています。
見た目は、大きなコンパスに似ています。丸い表示部から、炭素繊維の黒い腕が2本開き、腕は先の方で内側へ曲がり、その先の金具から細い金属のピンが出ています。2本のピンの先を2つのセンサーに当ててボタンを押すと、そのあいだの距離がソフトの表に入ります。アーボソニック3Dの取扱説明書(2026年9月版)は、キャリパーを「別売の製品」としています。本体を買えば付いてくる道具ではありません。表示部の色は、取扱説明書(v2)の写真では黒ですが、当社の機器は灰色です。
IML社の機器を取り上げた連載の第6回で扱ったキャリパーも、幹に打った測定点の位置を測る道具でした。音や電気で断面を描く機器には、どれも「点がどこにあるか」を知らせる手段が要る、ということです。
なぜ幹の形を測るのか──距離がずれると、音の速さもずれる
アーボソニック3Dは、あるセンサーをたたいた音が、ほかのセンサーに届くまでの時間を測ります。時間は機械が測りますが、2つのセンサーのあいだの距離は、入力した形から計算されます。音の速さは「距離 ÷ 時間」なので、距離の入力が1割違えば、その組の速さも1割違います(当社の計算)。速さの遅い所を傷みとして描く機器ですから、形のずれは、そのまま画像のずれになります。

音の速さは「距離 ÷ 時間」。2点の距離を1割長く入れると、速さも1割速く計算される(数値は説明のための例。当社の計算)
ドイツの研究者Rust氏は、伐って確かめたドイツトウヒの7つの断面で、2つの機種を3人で測り比べ、誤差のいちばん大きな原因はセンサーの位置だったと報告しています(2017年)。断面が円から外れているほど、実際の距離からのずれは大きくなりました。周の長さが同じ形は無数にあるので、周の長さだけを手がかりにすると、形は推測するしかない、とも書いています。
形の入れ方は3つ
アーボソニック3Dのソフトでは、形の入れ方(Scheme)を選びます。2026年9月版の取扱説明書は、円(Circle)と楕円(Ellipse)は厳密に円や楕円の断面に使い、それ以外はすべて不規則(Irregular)にするよう書いています。キャリパーで距離を測るのは、この不規則の方式です。
| 方式 | 入れる値 | キャリパー |
|---|---|---|
| 円(Circle) | 巻尺で測った周の長さ | 使わない(Androidのアプリでは測るボタンが出ない) |
| 楕円(Ellipse) | 周の長さ、長径(D1)、短径(D2) | 長径と短径をキャリパーで測れる |
| 不規則(Irregular) | センサーどうしの距離(例: 1–2の欄) | ソフトが指示する組を測って送る |
| Irregular 3 | センサーごとに3つ隣までの距離 | キャリパーより太い幹を測るときに使う |

形の入れ方は3つ。円と楕円は周や径から位置を計算し、不規則な幹はセンサーどうしの距離を測って形を決める(取扱説明書をもとに当社作成)
不規則の方式でも、センサーの付け方には手順があります。説明書は、理想はセンサーを等間隔に付けることだとして、まず円の方式でソフトに周上の位置を出させ、その位置にセンサーを付けてから不規則の方式に切り替え、センサーどうしの距離を測る、という順番を示しています。センサーは上から見て反時計回りに付け、巻尺を使って同じ高さの面にそろえます。
構成と仕様
取扱説明書と製品ページによると、ブルートゥースキャリパーは次のものでできています。
- 表示部: 画面、電池、電子回路が入った丸い本体です。測った距離が数字で出ます。
- 測定の腕: 先がピンになった2本の腕です。左の部品は色なし、右の部品は黄色の印で分けてあり、対応する差し込み口に付けないと部品を傷めることがある、と説明書は注意しています。
- 延長の腕(オプション): 腕に足して、測れる距離をのばします。
- 付属品: 布のケース、USBの充電ケーブル、説明書。製品ページの同梱品には、スパナ(Wrench 28)も挙がっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 測れる距離(腕だけ) | 取扱説明書 v2 で1,000mmまで、製品ページと説明書の別の版で1,100mmまで |
| 測れる距離(延長の腕) | 長さ50cmの延長の腕で1,999mmまで(別の版には30cmの延長で1,635mmの組み方もある) |
| 分解能・精度 | 分解能1mm、精度2mm(製品ページ) |
| 重さ・材質 | 2.3kg、炭素繊維強化プラスチックとアルミ(製品ページ) |
| 大きさ | たたんで77×18×11cm、広げて155×95×6cm(製品ページ) |
| つなぎ方 | 無線だけ。最近の機器は Bluetooth Low Energy、2025年より前に売られた機器は Bluetooth Classic でパソコンとのペアリングが要る |
| 水への強さ | 防水ではない、保護等級 IP21(数滴なら大丈夫、雨の中では使わない) |
| 保証 | 届いてから1年 |
腕だけで測れる距離は、資料によって1,000mmと1,100mmに分かれます。アーボソニック3Dの2026年9月版の取扱説明書も、太い幹の表で「2mのキャリパー」と「1.1mのキャリパー」を並べています。延長の腕を足した1,999mmは、どの資料も同じです。

腕だけの組み方と、延長の腕を足した組み方。延長すると1,999mmまで測れる(イラストは当社作成)
延長の腕の付け方にも決まりがあります。継ぎ目の点の印どうしを合わせ、腕は回さずに、素手でしっかり締めます。締めるときは継ぎ目の反対側を必ず手で持ち、ねじは清潔に保って、必要ならグリスを付けます。腕を外すときは、まっすぐ平行に引き抜き、曲げないこと。曲げると継ぎ目を傷めます。

延長の腕は、点の印を合わせ、反対側を手で持って締める。外すときは曲げずにまっすぐ引く(イラストは当社作成)
使う前の準備──校正と接続
校正は2か所
取扱説明書の手順は次のとおりです。
- 黄色いボタンを押して電源を入れます。約6秒「- – – -」が出て、数字が出たら使えます。
- 2本のピンの先どうしを合わせ、ボタンを5秒押します。表示が「C000」になれば、ゼロの位置の校正は終わりです。
- キャリパーを最大まで開いて、ボタンを5秒押します。延長の組み方に応じた表示(C100やC200など)が出れば、最大の位置の校正も終わりです。
校正の値はキャリパーが覚えているので、やり直すのは延長の腕を付け替えたときだけです。裏を返すと、測るときにボタンを長く押すと校正し直してしまうことがあります。説明書は、測るときは短く押すよう注意しています。

校正は、ピンの先を合わせた位置と、最大に開いた位置の2か所(取扱説明書をもとに当社作成)
パソコン・スマートフォンとつなぐ
2026年9月版の取扱説明書によると、最近のアーボソニック3Dとブルートゥースキャリパーは Bluetooth Low Energy でつながり、ソフトの一覧に名前に「Caliper」を含む機器として出てきます。2025年より前に売られた機器は Bluetooth Classic を使うので、先にパソコンとペアリングし、ソフトでその機器のポートを選びます。キャリパーはソフトの設定画面のほか、形を入れる画面(Sensor Geometry)の下のボタンからも選べます。
Androidのアプリでも使えます。測り始めると画面が、接続の状態、次に測る組、測った距離の一覧の3つに分かれ、状態の帯の色が緑なら正常、黄なら接続や切断の途中、赤ならエラーです。アプリには Bluetooth と位置情報の両方の許可が要ります。
アーボエレクトロでは、Sensor Layout のタブの「Start」を押すと「Stop」に変わり、つながると緑の帯で「Caliper Connected」と出ます。電極の数によっては、最大61本の距離を測ります。
測り方──読み上げに従って、釘が樹皮に入る点に当てる
アーボソニック3Dでの流れを、取扱説明書からまとめます。
- 形の画面で不規則を選ぶ: Geometry のページで不規則(Irregular)を選び、キャリパーの電源を入れて「Start Bt Caliper」を押します。
- 読み上げを聞く: パソコンのスピーカーから「Please measure distance between 2 and 1」(2と1のあいだを測ってください)と流れます。説明書は、スピーカーを入れて音量を最大にするよう書いています。
- ピンを当てて、短く押す: 片方のピンを、センサー1の釘が樹皮に入る点に、もう片方をセンサー2の同じ点に当て、ボタンを短く1回押します。値はすぐに送られ、次の組が読み上げられます。
- 全部の組を測る: 最後の組まで繰り返すと、幹の形が画面に描かれます。
- 形を幹と見比べる: 説明書は、画面の形で結果を確かめるよう書いています。

ピンの先は、センサーの釘が樹皮に入る点に当てる(取扱説明書の記述をもとにした図。イラストは当社作成)
ピンを当てる位置が文で決められているのは、測る人によるばらつきを小さくするうえで大事な点です。センサーの頭に当てるか、釘の根元に当てるかで、距離は少しずつ変わります。同じ人が、同じ場所に、同じように当てる。地味ですが、そこから形の正確さが決まります。

パソコンが次に測る組を読み上げ、キャリパーのピンを2つのセンサーに当てて送る(イラストは当社作成)
測り違えたとき
別のセンサーのあいだを測ってしまうと、画面の形がゆがむか、形がまったく描かれません。取扱説明書は、そのときはマウスで該当する欄を選んで直すか、全部を測り直すよう書いています。Androidのアプリでは、前後の組に戻るボタンで、前に測った距離を測り直せます。
腕が届かない太い幹──Irregular 3
2026年9月版の取扱説明書には、2020年版には無かった「Irregular 3」という方式が載っています。キャリパーの最大の距離より太い幹を測るための方式です。センサーごとに3つ隣までを測ります。センサー1なら1→2、1→3、1→4、センサー2なら2→3、2→4、2→5、という順です。どのセンサーからも3つ隣までの距離がキャリパーで測れれば、どんな太さの木でも測れる、と説明されています。
円に近い幹にセンサーを等間隔に付けると、3つ隣までの距離は、直径よりずっと短くなります。センサーが12個なら直径の約0.71倍、20個なら約0.45倍です(当社の計算)。センサーを増やすほど、短いキャリパーでも太い幹に届く、という仕組みです。

Irregular 3 は、センサーごとに3つ隣までを測る。12個なら3つ隣までの距離は直径の約0.71倍で、キャリパーより太い幹も測れる(当社の計算)
取扱説明書は、ほぼ円で等間隔に付けた場合に、この方式で測れる幹の直径の目安を表にしています。
| センサーの数 | 2mのキャリパー | 1.1mのキャリパー |
|---|---|---|
| 10個 | 2.40m | 1.32m |
| 12個 | 2.74m | 1.51m |
| 16個 | 3.49m | 1.92m |
| 20個 | 4.27m | 2.35m |
| 24個 | 5.07m | 2.79m |
| 32個 | 6.68m | 3.68m |
表の単位は書かれていませんが、値からメートルと読めます。抜き出したのは偶数の一部で、説明書には10個から32個まで2個おきに載っています。表の値から逆に計算すると、どの行も3つ隣までの距離が、キャリパーの長さより少し短い値(2mのキャリパーで約1.94m、1.1mで約1.07m)になります。余裕を見た値と読めますが、理由は説明書に書かれていません(当社の計算)。あくまで円に近い幹での目安で、根張りの強い幹では3つ隣でも届かない組が出ることがあります。

Irregular 3 で測れる幹の直径の目安(ほぼ円・等間隔の場合。アーボソニック3D取扱説明書 2026年9月版の表から当社作成)
研究から見る、形の大切さと限界
ファコップ社の機器で、形の入力の誤差を数値で調べた論文は、今回の調査の範囲では見つかりませんでした。ここでは、音で断面を描く機器に共通する研究を紹介します。
位置を記録すれば、数年後でも再現できる(ドイツ、2022年)
Rust氏は、ブナ、ナラ、トウヒ、カエデの成木・老木を、同じ人、別の人、数か月後、2〜5年後に測り直しました。別の人がすぐに測り直すと音の速さは最大5%変わりましたが、そのうち距離の違いは1%以下でした。著者は、センサーの位置を正確に記録して残しておけば、別の人が何年もあけて測っても結果は再現できる、と結論しています。
強い凹凸では、硬い棒で測った形がゆがむ(韓国、2023年)
韓国の研究者は、樹齢300年を超えるケヤキの仲間1本の断面を、3Dスキャナーと、別の会社のキャリパーで測り比べました。周の長さの差は1%未満でしたが、幹が強く曲がり凹凸する部分ではキャリパーの形がゆがみ、高さ90cmでは画像の異常な範囲の面積が約1,613cm²違いました。著者は、硬い棒で2点のあいだを測る道具では、強い曲がりを再現しにくいと考えています。ブルートゥースキャリパーも2点のあいだを測る道具なので、根張りの強い老木では、センサーの数と配置を考え、描かれた形を幹と見比べることが要ります。
幹の形そのものも、画像の癖を変える(米国ほか、2023年、要旨と付随データの説明)
米国などの研究者らは、41本を音で測ってから伐り、断面と比べました(本数は、論文に付随して公開されたデータの説明によります)。この研究の「形」は入力の誤差ではなく、断面そのものの大きさや丸さです。要旨によると、小さく円い断面では腐朽を少なめに、大きく形の崩れた断面では多めに見積もる傾向がありました。形を正確に測ることに加えて、形によって画像の癖が変わることも、読む側が知っておく必要があります。
使うときの注意
| 項目 | 取扱説明書などの注意 |
|---|---|
| 押し方 | 測るときは短く押す、長押しは校正し直してしまうことがある |
| 自動で切れる | 最後の送信から一定時間で電源が切れる(説明書 v2 で120秒、製品ページで60秒)、切れる前に表示が点滅し、ボタンを押すと続く |
| 電池 | 3.5Vを下回ったら充電、電圧はソフトの形の画面に出る、深い放電は電池を壊すので3〜4か月使わないときも充電する |
| 雨 | 防水ではない、雨の中では使わない |
| 電波 | Bluetoothは約10mまで、機器とパソコンを幹の反対側に置かない、金属の机やカップ、送電線や地下鉄の近くでも不安定になる |
| 腕 | 左右を正しい差し込み口に付ける、外すときは平行に引き曲げない |
電波の注意は、2026年9月版の取扱説明書の「接続の不具合」の節にあります。幹そのものが電波を遮るというのは、樹木を測る機器ならではの注意です。パソコンを置く位置は、センサーを付ける前に決めておくと、測定の途中で慌てずに済みます。
当社の考え方
当社の樹木診断では、外観診断で内部の異常が疑われた樹木を、アーボソニック3Dなどの機器で詳しく調べます。ブルートゥースキャリパーは、その画像の土台をつくる道具で、当社ではアーボソニック3Dで測る木では毎回使っています。断面の画像は色が付いて分かりやすいぶん、形の入力が少しずれていても、もっともらしい画像になってしまいます。だからこそ、測った形を目の前の幹と見比べる手間を省かないことが、画像を読む前の一歩だと考えています。
形を測る工程は、測る人の丁寧さがそのまま結果に出ます。研究が示すとおり、センサーの位置を正確に残しておけば、何年か後に同じ樹木を測り直したときにも比べられます。保存樹木や大きな老木のように、長く見守っていく樹木ほど、この記録が生きてきます。
株式会社トシ・ランドスケープのツリーリスクアセスメント(樹木診断)部門では、樹木医が外観診断から機器診断、報告書の作成、その後の管理計画までを一貫して担当しています。ご依頼は、マンション管理組合様、学校施設、寺社の御神木など様々です。幹の内部が気になる樹木がありましたら、樹木診断のサービスページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからのご相談をお待ちしています。
次回は、幹の2点のあいだを音が伝わる時間を測る機器、マイクロセコンドタイマー(Microsecond Timer)などを取り上げます。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
よくあるご質問(ブルートゥースキャリパー Fakopp Bluetooth Caliper について)
Q1. ブルートゥースキャリパーでは何を測りますか?
A. 幹に付けたセンサーや電極どうしの距離です。2本の腕の先のピンを2つのセンサーに当ててボタンを押すと、距離がmm単位でパソコンのソフトに送られ、幹の形が描かれます。
Q2. キャリパーがないと、アーボソニック3Dは使えませんか?
A. 使えます。キャリパーは別売の製品で、円の方式なら巻尺で測った周の長さを入れ、楕円の方式ならそれに長径と短径を加えます。ただ、円や楕円で表せない幹では、センサーどうしの距離を測る不規則の方式を使い、その距離を測るのがキャリパーです。取扱説明書も、楕円や不規則な幹を測る見込みならキャリパーを持って行くよう勧めています。
Q3. 形が少しずれると、結果はどれくらい変わりますか?
A. 音の速さは「距離 ÷ 時間」で計算するので、距離の入力が1割違えば、その組の速さも1割違います。ドイツの研究では、誤差のいちばん大きな原因はセンサーの位置でした。
Q4. どのくらいの太さの木まで測れますか?
A. キャリパーで測れる距離は、腕だけで約1.0〜1.1m、延長の腕で1,999mmまでです。それより太い幹には、センサーごとに3つ隣までを測る Irregular 3 の方式があり、ほぼ円い幹にセンサーを等間隔に付けた場合、2mのキャリパーとセンサー12個で直径2.74mまでが目安とされています。
Q5. 校正は必要ですか?
A. 必要です。ピンの先を合わせた位置と、最大に開いた位置の2か所で、ボタンを5秒押して校正します。値は記憶されるので、やり直すのは延長の腕を付け替えたときだけです。
Q6. 雨の日にも使えますか?
A. 防水ではないので、雨の中では使わないよう取扱説明書は求めています。保護等級は IP21 で、数滴の水なら大丈夫とされています。
Q7. 測り間違えたらどうなりますか?
A. 別のセンサーのあいだを測るなどの間違いがあると、画面の形がゆがむか、描かれません。その欄を選んで測り直すか、全部を測り直します。測り終えた形を、目の前の幹と見比べることが大切です。
出典・参考情報
メーカーの資料(いずれも2026年10月に確認)
・Fakopp「Fakopp Bluetooth Caliper」製品ページ(英語) 特徴、使い方の手順、同梱品、仕様
・FAKOPP「Manual for Bluetooth Caliper」2019年(PDF・英語) 用途(p.1)、同梱品(p.2〜3)、起動と接続(p.4〜7)、腕の左右と測れる距離(p.7)、延長の腕(p.8)、校正(p.8〜9)、アーボソニック3Dとアーボエレクトロでの使い方(p.9〜11)、電池と注意(p.11〜12)、保証(p.12)
・FAKOPP「Manual for Bluetooth Caliper」別の版、2019年(PDF・英語) 腕だけで1,100mm、30cmと50cmの延長の腕(p.7〜8)
・Fakopp「ArborSonic 3D Manual」2026年9月版(PDF・英語) 構成(p.3)、接続(p.8〜11)、形の入れ方と Irregular 3(p.16〜19)、Androidでのキャリパー(p.46〜50)、接続の不具合(p.58〜60)、雑記(p.69)
・Fakopp Enterprise「ArborSonic 3D User’s Manual」v6.5(2020年) 不規則の方式(p.17〜20)
・Fakopp「Manual for the ArborElectro impedance tomograph」(2018年) 形の入れ方(p.11〜13)、キャリパー(p.14)
研究
・Rust, S. (2017) Accuracy and reproducibility of acoustic tomography significantly increase with precision of sensor position. Journal of Forest and Landscape Research 2(1): 1–6
・Rust, S. (2022) Reproducibility of stress wave and electrical resistivity tomography for tree assessment. Forests 13(2): 295
・Kim, E.S., Kim, C.W., Lee, J.Y. & Kim, C.S. (2023) Study on creating cross section of the old giant old tree’s trunk for acquisition of sonic tomography. The International Archives of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences XLVIII-M-2-2023: 857–862
・Burcham, D.C., Brazee, N.J., Marra, R.E. & Kane, B. (2023) Geometry matters for sonic tomography of trees. Trees 37(3): 837–848(要旨と、付随データの説明(Harvard Dataverse)を確認)
樹木診断機器(ピカス・レジ・アーボソニック3D)の記事
機器の解説・導入・研修
・アーボエレクトロ(ArborElectro)の仕組みと測り方──電気の通りやすさで幹の断面を描き、腐朽の初期を探るインピーダンストモグラフを樹木医が解説
・アーボソニック3D(ArborSonic 3D)の仕組みと得られる結果──センサーの数、測れる太さ、断面画像と安全率の読み方を樹木医が解説
・ファコップ社とは──アーボソニック3Dをつくるハンガリー・ショプロンの樹木診断機器メーカーと、製品の全体像を樹木医が解説
・IML社の樹木診断機器の点検・校正とセミナー──連載のまとめとして、外観診断から総合判定までの流れで機器の使いどころを樹木医が解説
・IML社の樹木診断機器のソフトウェアとクラウド──IML Tree InspectionとPD-Tools Proで、測ったデータを診断の材料にする方法を樹木医が解説
・フラクトメーター(IML Fractometer)の仕組みと考え方──成長錐で抜いた木材の芯を折り、腐朽による強さの低下と壊れ方を読む方法を樹木医が解説
・マイクロハンマー(IML Micro Hammer)の仕組みと使いどころ──幹の2点間を音が伝わる時間で内部を推し量る予備調査の機器を樹木医が解説
・テンション(PiCUS Tension)の仕組みと使いどころ──土の水の取りにくさをpFで記録し、植栽直後の潅水を判断する方法を樹木医が解説
・ツリーモーション(PiCUS TreeMotion)の仕組みと使いどころ──自然の風で根元の傾きを測り、根の支えを読む方法を樹木医が解説
・ツリーキネティック(PiCUS TreeQinetic)の仕組みと考え方──ロープで木を引き、根返りと幹折れの安全率を見積もる静的負荷試験(引張り試験)を樹木医が解説
・キャリパー(PiCUS Calliper 3)の役割と測り方──幹の形を三角測量で測り、断面画像の精度を上げる方法を樹木医が解説
・トロニック(PiCUS TreeTronic 3)の構成と測り方──電気抵抗で断面を描き、音波の画像と重ねて読む方法を樹木医が解説
・ピカス(PiCUS Sonic Tomograph 3)の構成と測り方──測定点の数、キャリパーの扱いを樹木医が解説
・IML-RESI FシリーズとMD300──ワックス紙に曲線を刻むレジと、手で感じる機械式の穿孔器を樹木医が解説
・IML-RESI PowerDrill(PDシリーズ)の機種とオプション──レジ(Resi PD)7機種の違いと選び方を、樹木医が解説
・IML社とは──レジ(Resi PD)とピカスをつくるドイツの樹木診断機器メーカーを、樹木医が解説
・レジ(Resi PD)の根株診断カルテの読み方 俯角40度・補正直径・未測定部分を、実際のカルテで樹木医が解説
・レジ(Resi PD)の診断カルテの読み方 実際のカルテで、9つの欄を樹木医が1つずつ解説
・樹木医は街路樹診断で何を見ているか(後編) 機器診断のt/R率と腐朽空洞率、総合判定、処置、フォローアップ診断
・樹木医は街路樹診断で何を見ているか(前編) 東京都の街路樹診断等マニュアルの流れで、樹木点検と外観診断の18項目を解説
・アーボソニック3Dの使い方を、道具から断面画像の色の見方まで──取扱説明書と現場の写真で樹木医が解説
・アーボソニック3Dとは何か 音で幹の断面を樹木診断する診断機器を、樹木医が一般の方向けに解説します
・レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か。樹木医がレジ(Resi PD)で幹の中を「針」で診る機器診断を、一般の方向けに解説します
・ピカス(PiCUS)とは何か。音波と電気抵抗で幹の断面を診る樹木診断機器を、樹木医が解説します
・樹木診断機器Resi PD500の「Overload feed motor」エラー 原因は針でも設定でもなく、テレスコープ内のサポーターの曲がりでした
・音で、樹木の中を視る 非破壊樹木診断機器「ドクターウッズ」
・樹木診断 無料モニター募集
・PiCUS(ピカス)導入のお知らせ 樹木診断(機器診断) 非破壊診断×微破壊診断で、樹木診断を世界水準へ
・樹木診断機器 IML社製 レジ(Resi PD)について
・樹木模擬診断研修会を終えて 人の眼 × 機械の眼が拓く、新しい都市樹木管理のかたち
・東京都「街路樹診断等マニュアル」の要点と、国土交通省の点検・診断の指針(案)──大型化・老木化する街路樹・公園樹木の管理を樹木医が解説
・樹木医がイギリスの樹木診断に学ぶ ― 都市の樹木を守るための対話と発見
機器診断の記録
・山梨県都留市・西涼寺様 樹木医による霊木ケヤキの樹木診断 ピカス・ツリートロニック・レジとドローンで診た結果と、残すための3つの対策
・埼玉県内の伝統校 樹木医によるクスノキ2本の機器診断 ピカスで幹の内部を診る
・樹木医が街路樹エンジュの樹木診断と伐採後の腐朽具合の答え合わせ
・山形県での出張樹木診断 樹木医によるピカス、レジでの診断検証
・診断した木を、その日のうちに伐る──ピカス・アーボソニック3D・レジを同一木のサクラで比べた「樹木診断機器比較研修会」千葉県習志野市
・都有施設80万本の樹木一斉点検 約14,000本(速報)の「異状あり」を、樹木医はどう読むか
・港区三田 薬王寺様の境内 樹木診断 地上と樹上、樹木医がふたつの視点で木の内側を読む
・砧公園で4回目の倒木 樹木医として思うこと
・【ツリーケア最前線】樹木医が語るレジ(Resi PD)診断とロープワークの統合 相模原市での樹木診断レポート
・樹木医による都内の学校施設でのサクラの樹木診断 豊島区
・学校施設 ケヤキなど樹木医診断 東京都
・公園樹木診断 樹木医による機器診断・根株診断(レジ) 東京都
・マンション内のイチョウ(銀杏) 樹木医診断(機器診断) 東京都大田区
・公園のサクラ(桜)を樹木医が樹木診断(機器診断)しました
・樹木医 保存樹木サクラ等 樹木診断 東京都杉並区
・学校施設内 桜(サクラ)樹木医診断 東京都
・銀杏岡八幡神社 台東区浅草橋 樹木医診断
・樹木医 サクラ樹木診断(機器診断・レジ)
・樹木医がマンション植栽の危険木調査を行いました
サービス
・樹木診断(ツリーリスクアセスメント部門)
・GREEN MANAGEMENT
※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は Frank Rinn 氏(ドイツ)の登録商標(製品は RINNTECH 社)で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。
※ この記事の製品名(Fakopp Bluetooth Caliper、ArborSonic 3D、ArborElectro、PiCUS Calliper 3)は、各社の商標または登録商標です。Bluetooth は Bluetooth SIG, Inc. の登録商標、Android は Google LLC の商標です。



















