恵比寿どろんこ山プレーパークで始まった「森の入口」プロジェクト 恵比寿南一公園

恵比寿ガーデンプレイスに隣接する恵比寿どろんこ山プレーパーク(恵比寿南一公園)は、子どもたちが「自分の責任で自由に遊ぶこと」を大切にしながら、時間や制約に縛られない遊びの中で、想像力や挑戦する心を育める貴重な場所です。プレーリーダーが寄り添い、「やってみたい」を支えてくれる。そんな文化が、恵比寿のまちの暮らしの中に息づいています。

国土交通大臣賞受賞:木陰をつくり、遊びを守る計画へ

このプレーパークの取り組みがこのたび、「緑の環境プラン大賞」においてシンボル・ガーデン部門国土交通大臣賞を受賞しました。
応募プラン「遊びを通して子育ち、樹育て『森の入口』プロジェクト」は、シンボルツリーや葉・実で遊べる樹木の植栽によって緑陰環境を生み出し、酷暑の中でも子どもたちが健康で安全に遊べる場をめざす点が高く評価されたものです。

※スケッチ:ティー・プロダクツ建築設計事務所

実際、どろんこ山には日陰が少なく、近年の厳しい夏には暑さ指数を基準に開園方法を工夫しながら運営してきたといいます。
「やはり木陰が欲しい」という切実な声に応えるべく、シンボルツリー植樹に加え、複数の樹木の植栽や芝生整備、庇やウッドデッキ、木道の整備など、環境を更新していく計画が進められています。

2026年2月13日:植栽工事がスタートしました

先月11日の地鎮祭で土地の神様にご挨拶を済ませ、暦の上では春を迎えた2026年2月13日、いよいよ植栽工事がスタートしました。
私たちがこの土に植えているのは、苗木という姿をした「10年後の恵比寿の景色」そのものです。

新しく仲間入りした樹木たち(クヌギ・コナラ・トウカエデ・ムクロジ)

今回、公園に仲間入りしたのは、これから心地よい木陰をつくり、遊びの種をまいてくれる個性豊かな落葉樹たちです。

まずは、雑木林の王様「クヌギ」と「コナラ」。
夏にはカブトムシやクワガタが集まり、秋には丸くて可愛いどんぐりや、帽子をかぶった細長いどんぐりを落としてくれます。

次に、カエルの手のような葉が特徴の「トウカエデ」。
季節の移ろいとともに、燃えるような赤や黄色へと色づき、公園の風景を彩ってくれるはずです。

そして、昔から羽根突きの玉に使われてきた「ムクロジ」。
この木の実の皮は水と混ぜて振ると泡立ち、「天然の石鹸」としても知られています。どろんこ遊びのあと、自然の泡で手を洗う——そんな体験も、いつかこの場所の日常になるかもしれません。

2026年2月14日:地域の皆様と「植樹式」を行いました

翌日の2026年2月14日には、公園改修の関係者や来園者の皆様にお集まりいただき、高木の「植樹式」が執り行われました。
「森の入口プロジェクト」の核となる樹木たちが、地域の皆様の手で大地に根を下ろす瞬間です。

式の中で、樹木医・中村より樹木の魅力とこれからの楽しみ方をお話しし、あわせて、樹木がこれから健やかに育つために欠かせない“植え付けの作法”についても解説と実演を行いました。

植え付けの作法:水極め(みずぎめ)と水鉢(みずばち)

ひとつは「水極め(みずぎめ)」
植え付けの際、土と根の隙間に水をたっぷりと送り込み、泥の力で空気を抜いて根を密着させる技法です。棒で突いて土を締め固めるのではなく、水と土の流動性を利用して、優しく、しかし確実に根を落ち着かせます。

もうひとつは「水鉢(みずばち)」
幹の周りに土で土手をつくり、水が外へ逃げないようにする器のことです。雨や水やりの水がしっかり根元に染み渡るよう、手作業で丁寧に形を整えていきます。

10年後の景色へ:木陰が育ち、遊びが広がっていく

植えたばかりの今は、まだ線が細く、少し頼りなく見えるかもしれません。
けれど彼らはこれから驚くほどの生命力で根を張り、枝を伸ばしていきます。数年もすれば、クヌギやコナラのどんぐりは地面いっぱいに落ち、子どもたちのポケットをパンパンに膨らませることでしょう。トウカエデは赤く燃えるように季節を知らせ、ムクロジの実は、泥だらけになった小さな手を泡で洗う“遊びの延長”を生み出してくれるはずです。

いま3〜4mほどの若木たちは、10年後には見上げるような大樹へと成長し、夏の容赦ない日差しを枝葉で受け止め、その下に濃く涼しい木陰をつくります。
シンボルツリーの根を守るために設置されるデッキベンチは、木漏れ日に包まれる特等席となり、走り回って火照った子どもたちがふと足を止め、風を感じる場所になるでしょう。

「樹育て」という約束:植えて終わりではない

生き物である以上、樹木には必ず寿命があります。近年、腐朽や猛暑によって失われた木々があったように、都市の緑を守り続けることは容易ではありません。
だからこそ、この計画には「樹育て」という言葉が入っています。

植えて終わりではなく、子どもたち、地域の方々、そして私たち専門家がチームとなり、デッキで根を守り、土を育て、手入れを重ねていく。そうして手をかけた分だけ、樹木は健やかに育ちます。
今、泥んこになって遊んでいる子どもたちが大人になる頃、この木々は彼らを優しく見守るシンボルツリーとして、堂々とそこに立っているはずです。

地元・恵比寿で、この「はじまり」に関われること

樹木医の中村にとって、渋谷区恵比寿は生まれ育った地元であり、子どもの頃から親しみ、遊び、季節の匂いを体で覚えた原風景です。
大人になり、樹木と向き合うプロとして、思い出の公園の「これから」に関われること。そして地域の皆様と共に、このスタートラインに立てたことを心から光栄に思います。

ここから先、木陰が増え、風が通り、子どもたちの遊びがもっと深く、もっと自由に広がっていく。
そんな未来へ向けた本当のスタートです。私たちは、一本一本の樹木と丁寧に向き合いながら、この場所がこれからも長く愛され続けるよう、公園の改修に伴走してまいります。

株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊

えびすどろんこ山プレーパーク
渋谷の遊び場を考える会
設計:ティー・プロダクツ建築設計事務所
構造設計:KMC
庇工事:21世紀工務店
植栽工事:トシ・ランドスケープ

 

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・植栽管理で失敗しない考え方 冬季落葉樹剪定と管理組合様との中長期計画 神奈川県
・良い技術は国境を越える。ヨーロッパの樹木管理スタンダードを学び、現場の判断精度を高める
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