マイクロセコンドタイマー(Microsecond Timer)は、幹に刺した2本のセンサーのあいだを音が伝わる時間を測り、樹種ごとの基準の速さと比べて内部の傷みを推し量るファコップ社の機器です。立木の材の硬さを見るツリーソニックタイマー、苗木と単板用のウルトラソニックタイマーとあわせて樹木医が解説します。
ハンガリーのFakopp(ファコップ)社の機器をひとつずつ取り上げる連載の第5回です。前回は、幹の形を測るブルートゥースキャリパーを取り上げました。今回は、「音が伝わる時間」を測る機器です。2本のセンサーのあいだの1本の通り道を測るマイクロセコンドタイマーを中心に、同じ原理を林業や木材の側で使うツリーソニックタイマーとウルトラソニックタイマーもあわせて、メーカーの公開資料と研究論文をもとに紹介します。
先に答え
- マイクロセコンドタイマーは、幹の反対側に刺した2本のセンサーのあいだを、ハンマーの衝撃が伝わる時間をマイクロ秒で測る機器です。距離を時間で割ると、幹を横切る音の速さが出ます。
- 測った速さを、その樹種の健全な木の速さ(基準の速さ)と比べ、何%遅いか(RVD)を出します。メーカーは、RVDから腐朽の面積を見積もる目安の表を示しています。
- ただし、基準の速さは資料によって大きく違います。米国農務省林産物研究所(FPL)のガイドは、現地で同じ樹種の健全な木を測って基準をつくるよう勧め、1本の通り道で見つけられるのは断面の20%を超える腐朽だとしています。
- ツリーソニックタイマーは、幹の同じ側に1m離して刺した2つのセンサーで、繊維に沿う向きの速さを測り、立木の材の硬さを推し量るための機器です。
- ウルトラソニックタイマーは、超音波で苗木や単板(薄くむいた板)の速さを測る機器です。湿った苗木の中では信号が弱まりやすく、センサーの間隔は25〜30cmが勧められています。

マイクロセコンドタイマーの測り方。幹の反対側に2本のセンサーを刺し、赤い印のスタートのセンサーをハンマーでたたいて、衝撃がストップのセンサーに届くまでの時間を測る(イラストは当社作成)
マイクロセコンドタイマーとは──1本の通り道の時間を測る
取扱説明書(2026年9月版)は、マイクロセコンドタイマーを、1本の通り道を音が伝わる時間を測り、樹木の構造の健全さを判断する助けにする非破壊の試験の道具と紹介しています。測った時間が、健全な材を通ったものか、腐朽や菌、その他の傷みのある部分を通ったものかを示す、という考え方です。
この機器は新しいものではありません。2004年に米国農務省林産物研究所(FPL)が出した立木の腐朽診断のガイドには、すでに「FAKOPP Microsecond Timer」として載っています。針の付いたセンサーが樹皮を貫いて辺材に届き、スタートのセンサーをハンマーでたたいて半径方向に応力波を起こし、2つのセンサーが始まりと終わりの信号を拾う、という今と同じ測り方です。このガイドには、ショプロンの大学の研究者で、ファコップ社の講演資料にも名前が載るDivós氏が共著者に入っています。
構成と仕様
取扱説明書によると、付属品は本体、6mの延長ケーブル、ケース、100gの鋼のハンマー、ゴムのハンマー、スタートとストップのSD02振動センサー、9Vの電池と充電器、ソフトの入ったUSBメモリーです。ゴムのハンマーはセンサーを打ち込むため、鋼のハンマーはスタートのセンサーをたたくためのものです。

マイクロセコンドタイマーの主な部品。中央が本体、左右がスタートとストップのセンサー(赤い印がスタート)、手前が鋼とゴムのハンマー(イラストは当社作成)
| 項目 | 取扱説明書(2026年9月) | 製品ページ(2026年10月に確認) |
|---|---|---|
| 測るもの | 1本の通り道の伝わる時間(マイクロ秒) | 伝わる時間、応力波の速さ、弾性係数の見積もり |
| 時間の精度 | 標準偏差 ±1µs | 誤差 ±3µs |
| 大きさ・重さ | 29×80×156mm、220g | 45×82×150mm、347g |
| 電源・表示 | 9V、4桁の液晶 | 9Vの充電池、4桁の液晶 |
| 筐体 | 樹脂、水に強くない | 樹脂、水に強くない |
| 使える温度 | −10〜40℃ | 0〜40℃ |
| 記録 | Androidのアプリ、パソコンのソフト(Excel・CSV) | パソコンのソフトとAndroidのアプリ(Excel・CSVの記載は無い)、1本の測定はセンサーの抜き差しを含めて1分未満 |
2つの資料で数字が違う所は、両方を並べました。製品ページは用途に「大きな腐朽や空洞を見つける」ことを挙げています。
センサーのSD02は、アルミの本体の上に焼き入れした鋼のカバー、下に鋼の針が付いた形で、ケーブルは横に出ます。取扱説明書は、横からではなく針の向きにたたくよう求めています。センサーとケーブルの製品ページには、SD2の名で、針の長さ0・25・60・120mmのものが載っています。

SD02振動センサーの形。鋼のカバーを針と同じ向きにたたき、針は樹皮を貫いて材まで入れる(取扱説明書の図をもとに当社作成)
測り方と速さの読み方
測る手順
取扱説明書の評価の手順をまとめると、次のとおりです。
- 反対側に刺す: 2本のセンサーを幹の反対側の点に刺し、半径方向に向かい合わせます。針は樹皮を貫き、2本とも材にしっかり入れます。
- 打ち込む: ゴムのハンマーでセンサーを打ち込みます。ケーブルをたたかないよう注意します。
- たたく: 電源を入れ、赤い印のスタートのセンサーを鋼のハンマーで、針の向きに弾むようにたたきます。続けて速くたたかず、1〜2秒おきます。
- 補正を引く: 表示の時間から、機器ごとの校正の書類にある補正の値を引きます。
- 速さを出す: 速さ(m/s)=センサー間の距離(cm)÷時間(µs)×10,000です。
取扱説明書の計算の例では、距離80cm、補正後の時間650µsで、速さは約1,230m/sです。時間のばらつきが大きいときは、スタートとストップの取り違えや、センサーの入りの浅さ、たたき方の弱さ、ハンマーの扱いを疑うよう書かれています。
基準の速さとRVD
測った速さは、その樹種の健全な木の速さ(基準の速さ)と比べて読みます。取扱説明書は、その差を「相対的な速さの低下(RVD)」として、RVD(%)=(基準の速さ−測った速さ)÷基準の速さ×100で表します。例では、ヨーロッパカラマツの基準1,700m/sに対して1,000m/sなら、RVDは41%です。

速さは距離÷時間。基準の速さより何%遅いかがRVD(取扱説明書の計算例をもとに当社作成)
取扱説明書の付録には、70ほどの樹種の基準の速さ(半径方向)が載っています。日本でもなじみのある樹種を抜き出すと、次のとおりです。
| 樹種(付録の学名) | 基準の速さ(m/s) |
|---|---|
| モミ(Abies firma) | 1,450 |
| イチョウ(Ginkgo biloba) | 1,675 |
| エンジュ(Sophora japonica) | 1,950 |
| モミジバスズカケノキ(Platanus acerifolia) | 1,650 |
| ユリノキ(Liriodendron tulipifera) | 1,650 |
| セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum) | 1,650 |
| セイヨウミザクラ(Prunus avium) | 1,800 |
| アカガシワ(Quercus rubra) | 1,650 |
| ハリエンジュ(Robinia pseudoacacia) | 2,000 |
| キリ(Paulownia tomentosa) | 1,250 |
| ヨーロッパカラマツ(Larix decidua) | 1,700 |
| ドイツトウヒ(Picea abies) | 1,550 |
そのうえで、RVDから腐朽の面積を見積もる目安の表が示されています。RVDが10%までは腐朽の面積0%、15%で0〜10%、20〜25%で10〜20%、30%で20〜30%、40%で20〜40%、50%で30〜50%です。おおむね直線の関係だとし、より正確には直交する2方向で測ること、さらに正確に腐朽の範囲を決めるには音響トモグラフィー(同社のアーボソニック3D)を勧めています。

RVDと腐朽の面積の目安。RVDが10%までは腐朽の面積を0%とみる(取扱説明書の表から当社作成。メーカーの目安)
基準の速さは、資料で違う
ここで気をつけたいのが、基準の速さそのものの幅です。たとえばナラ類(オーク)の基準は、ファコップ社の付録ではヨーロッパナラで1,800m/s、FPLのガイドに載るDivós氏とSzalai氏の表では1,620m/s、マテック(Mattheck)氏とベトゲ氏が1993年の論文に載せた健全な木の現地調査の値では1,382〜1,610m/sでした。トウヒ類やカラマツでも同じように開きがあります。
日本のカラマツでは、ファコップ社のマイクロセコンドタイマーで測った小林氏らの研究(2008年)があり、林齢のほぼ同じ2つの林で、健全な木の平均の速さが1.76km/sと1.26km/sと、約1.4倍違いました。FPLのガイドは、文献の値を出発点にしつつ、現地で同じ樹種の健全な木を胸高で何本か測って基準をつくるよう勧めています。RVDは基準の取り方で大きく動くので、この勧めは数字を読む前提だと私は考えています。

健全な木の基準の速さは、資料によって違う(ファコップ社の取扱説明書の付録、FPL-GTR-147 の表〈Divos & Szalai 2002〉、Mattheck & Bethge 1993、小林ら 2008 から当社作成)
速さを変える条件
| 条件 | 取扱説明書の説明 |
|---|---|
| 測る向き | 接線方向はふつう半径方向より5〜15%遅い |
| 水分 | 生きた健全な木は繊維飽和点(30〜40%)より上。下回ると速さはかなり上がる |
| 温度(0〜40℃) | 1℃上がるごとに約3m/s遅くなる。評価では無視してよい程度 |
| 凍った木 | 凍った水が応力波をよく伝え、速さがかなり上がる。測定は勧めない |
繊維方向に測ると、材の硬さが分かる
マイクロセコンドタイマーは、2本のセンサーを幹の同じ側に、繊維に沿って並べて刺すこともできます。この向きは、傷みではなく材の弾性係数(MOE)を出すための測り方です。乾いた木材では4,000〜7,000m/sと、半径方向よりずっと速くなります。針の角度は30〜60°を勧め、60°を超えると読みが当てにならないとされています。弾性係数は、材の密度×速さの2乗で求めます。

繊維方向に測るときは、針を30〜60°で刺す。向きによって速さの目安は大きく違う(取扱説明書の数値から当社作成)
ツリーソニックタイマー──立木の材の硬さを見る
ツリーソニックタイマーは、同じ「伝わる時間」を、樹木の傷みではなく、立木の材の硬さを推し量るために使う機器です。取扱説明書(2020年1月)によると、構造は米国のWeyerhaeuser社が設計したもので、長く平たい形のスタートと、短く立方体に近いストップの2つの変換器を、付属のスライディングハンマーで打ち込みます。
標準の配置は、幹の同じ側に2つの変換器を1m離して、針と繊維の角度を45°で刺す形です。電源のスイッチは無く、スタートを強めにたたくと起動します。3回の読みの平均が勧められ、読みの標準偏差は±1.5µs未満、機器は水に強い作り(IP65)です。変換器はスタートが1.2kg、ストップが1.1kgあり、上の変換器が落ちてきたら、つかもうとせず下がるよう書かれています。

ツリーソニックタイマーの標準の配置。幹の同じ側に2つの変換器を1m離し、繊維に45°で刺して、幹に沿う向きの伝わる時間を測る(イラストは当社作成)
研究では、使い方と結果の読み方に注意が要ることが分かっています。Mora氏らは、14〜19年生のテーダマツ60本で、立木をツリーソニックで、同じ木の丸太を別の機器で測り、立木の速さが丸太より平均32%高いことを示しました(2009年)。論文の紹介によると、この方法で分かるのは幹の外側の厚さ2〜3cm、長さ約1mほどの材です。校正と含水率の2つの補正をすると、小さな試験体の硬さとよく合ったとしています。一方、Amateis氏とBurkhart氏は、27年生のテーダマツ48本で測った時間と、挽いた板の硬さや強さとのあいだに有意な関係を見いだせませんでした(2015年)。論文は、考えられる理由として、試料の少なさ、板の位置と測った位置の関係が分からないこと、節の影響、風などの影響を挙げています。外側の約1mの材を測る方法と、節を含む板全体の性質とでは、測っているものが違う、と私は読んでいます。
ウルトラソニックタイマー──苗木と単板を超音波で測る
ウルトラソニックタイマーは、ハンマーではなく電気で超音波のパルスを出す機器です。取扱説明書は、単板と苗木の試験のために設計したとしています。2つの同じ変換器を材に当て、片方から200V・60µsのパルスを2秒に1回出し、もう片方の信号がしきい値(120mV)に届くまでの時間を測ります。表示には変換器の中を通る時間が含まれるので、三角形の変換器なら6.1µsを引きます。
変換器は2種類です。単板用の45kHzの変換器は三角形の導波子で、材の端でなく側面から繊維方向に測れます。苗木用の90kHzの変換器は25mmの針が一体で、たたかずに指で押し込み、樹皮を貫いて6〜10mmほど入れ、繊維に対して45±15°にします。湿った苗木の中では超音波が乾いた木材より大きく弱まり、距離が35cmを超えたあたりから読みが11µs大きくずれる例が示されていて、間隔は25〜30cmが勧められています。

ウルトラソニックタイマーの使い方。苗木には針付きの変換器を指で押し込み、単板には三角形の変換器を押し当てる(イラストは当社作成)
苗木の材質を立木の段階で見ようとする取り組みは日本にもあり、福井県は令和6〜9年度の試験研究で、スギの特定苗木の材質を応力波の伝わる速さで評価する計画を示しています。資料の写真には、ファコップ社の応力波の測定器が使われています(機種は書かれていません)。
3つの機器を並べる
| 項目 | マイクロセコンドタイマー | ツリーソニックタイマー | ウルトラソニックタイマー |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 幹の内部の傷みの手がかり | 立木の材の硬さ | 苗木・単板の速さ |
| 音の起こし方 | 鋼のハンマーでたたく | 鋼のハンマーでたたく | 電気の超音波パルス |
| 主な向き | 半径方向(幹を横切る) | 繊維方向(幹に沿う) | 繊維方向 |
| センサーの間隔 | 幹の直径 | 1m | 25〜30cm |
| 時間の分解能・ばらつき | ±1µs | 1.2µs(標準偏差 ±1.5µs未満) | ±1µs |
| 水への強さ | 強くない | IP65 | 記載なし |
表の数値は各取扱説明書によります。ツリーソニックタイマーとウルトラソニックタイマーは、公式サイトの今の製品一覧には載っておらず、ダウンロードのページに取扱説明書が公開されています。

3つの機器の測る向きと距離。幹を横切って傷みを見るか、幹に沿って材の硬さを見るか(各取扱説明書をもとに当社作成)
アーボソニック3Dとのつながり──1本の通り道から断面へ
マイクロセコンドタイマーが測るのは、2本のセンサーを結ぶ1本の通り道です。FPLのガイドは、1本の通り道の測定で見つけられるのは断面の20%を超える内部の腐朽で、基準より伝わる時間が10%を超えて長ければ腐朽を疑って詳しい測定に進む、という使い方を示しています。同じガイドには、マイクロセコンドタイマーの多チャンネル版として、6点か8点のセンサーで断面のデータをつくる「FAKOPP 2D」も載っています。
当社が使っているアーボソニック3Dは、幹の周りに多くのセンサーを並べ、すべての組み合わせの通り道の時間から断面の画像を描く機器で、連載の第2回で取り上げました。マイクロセコンドタイマーの取扱説明書も、腐朽の範囲をより正確に決めるにはアーボソニック3Dを使うよう勧めています。1本の通り道の時間を測るという点で、2つの機器は同じものを測っています。違うのは通り道の数で、1本で傷みの有無の手がかりを得るか、多くの通り道から傷みの位置と広がりを描くか、です。米国のアカガシワの研究(Wang氏とAllison氏、2008年)でも、ファコップ社の2点式の測定は「問題があること」は正しく示しましたが、その中身までは分からず、断面の画像や穿孔抵抗の測定が要りました。
当社の考え方
当社の樹木診断は、木槌で幹をたたいて音を聞く外観診断から始まり、内部が疑わしい樹木をピカスやアーボソニック3D、トロニックで断面の画像にし(アーボソニック3Dで測る木では、毎回ブルートゥースキャリパーで幹の形も測ります)、気になる範囲にレジ(Resi PD)を通します。マイクロセコンドタイマーをこの流れに置くと、木槌の打診と断面の画像のあいだ、つまり「断面を描いて調べるべき木か」を数字で確かめる段階にあたる、というのが私の見方です。
数字で残せるのは、耳に頼る打診にはない利点です。ただ、この回で見てきたとおり、基準の速さは資料によっても、同じ樹種の林によっても大きく違います。RVDの表から腐朽の面積を読む前に、何を基準にしたのかを確かめる。速さが落ちていないから安全、落ちたから伐る、とはどちらも言えません。ツリーソニックタイマーの研究も、同じ「伝わる時間」が、どこを通った音かによって意味を変えることを教えてくれます。
株式会社トシ・ランドスケープのツリーリスクアセスメント(樹木診断)部門では、樹木医が外観診断から機器診断、報告書の作成、その後の管理計画までを一貫して担当しています。ご依頼は、マンション管理組合様、学校施設、寺社の御神木など様々です。幹の中の傷みが心配な樹木がありましたら、樹木診断のサービスページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからのご相談をお待ちしています。
次回は、ケーブルで木を静かに引き、根返りと幹折れへの強さを見積もるファコップの引張り試験(Pulling Test)を取り上げます。静的負荷試験(引張り試験)と動的な試験との違い、日本での導入と報告もあわせて見ていきます。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
よくあるご質問(マイクロセコンドタイマー Microsecond Timer について)
Q1. マイクロセコンドタイマーでは何を測りますか?
A. 幹の反対側に刺した2本のセンサーのあいだを、ハンマーの衝撃が伝わる時間をマイクロ秒で測ります。センサー間の距離を時間で割って速さを出し、その樹種の健全な木の速さと比べて、内部の傷みを推し量ります。
Q2. RVDとは何ですか?
A. 相対的な速さの低下のことで、基準の速さより測った速さが何%遅いかを表します。取扱説明書の例では、基準1,700m/sのカラマツで1,000m/sなら41%です。メーカーはRVDから腐朽の面積を見積もる目安の表を示しています。
Q3. 健全な樹木の速さはどのくらいですか?
A. 取扱説明書は、繊維に直角の向きでふつう1,100〜2,000m/sとしています。ただし、同じナラ類でも資料によって1,400m/s前後から1,800m/sまで開きがあり、日本のカラマツの研究では林によって約1.4倍違いました。現地で健全な木を測って基準をつくる方法が勧められています。
Q4. 小さな腐朽も見つけられますか?
A. 1本の通り道の測定で見つけられるのは断面の20%を超える腐朽だとする米国のガイドがあり、メーカーの表でもRVDが10%までは腐朽の面積を0%とみています。小さな傷みや通り道から外れた傷みは捉えにくく、位置や広がりを見るにはアーボソニック3Dのような断面の画像が必要です。
Q5. 冬でも測れますか?
A. 0〜40℃では温度の影響は1℃で約3m/sと小さく、評価では無視してよいとされています。一方、0℃を下回って凍った木では速さがかなり上がるため、メーカーは凍った木の測定を勧めていません。
Q6. ツリーソニックタイマーとは何が違いますか?
A. ツリーソニックタイマーは、幹の同じ側に1m離した2つの変換器で、繊維に沿う向きの伝わる時間を測り、立木の材の硬さを推し量る機器です。幹の内部の傷みを探すマイクロセコンドタイマーとは、測る向きも目的も違います。
Q7. ウルトラソニックタイマーは何に使いますか?
A. 電気で超音波のパルスを出し、苗木や単板の中を伝わる時間を測る機器です。苗木用は90kHzの針付きの変換器を指で押し込み、単板用は45kHzの三角形の変換器を押し当てます。湿った苗木では信号が弱まりやすく、間隔は25〜30cmが勧められています。
出典・参考情報
メーカーの資料
・Fakopp「Microsecond Timer」製品ページ(英語) 用途、付属品、仕様(2026年10月に確認)
・Fakopp Kft.「Microsecond Timer Manual」2026年9月2日版(PDF・英語) 付属品と仕様(p.1〜2)、原理と注意(p.2〜4)、基準の速さ(p.5、付録 p.27〜29)、向き・水分・温度(p.6〜7)、手順と計算(p.7〜8)、RVDと腐朽の面積の目安(p.8〜9)、繊維方向の測定(p.10〜11)、SD02(p.11〜12)、困ったとき(p.13)、アプリとPCソフト(p.14〜26)
・Fakopp「Sensors and Cables」製品ページ(英語) SD2 の針の長さ(2026年10月に確認)
・Fakopp「Manual for TreeSonic Timer」2020年1月15日(PDF・英語)
・Fakopp「User’s Guide FAKOPP Ultrasonic Timer」(PDF・英語)
・Fakopp ダウンロードのページ(英語)
研究・行政の資料
・Wang, X., Divos, F., Pilon, C., Brashaw, B.K., Ross, R.J. & Pellerin, R.F. (2004) Assessment of decay in standing timber using stress wave timing nondestructive evaluation tools: a guide for use and interpretation. USDA Forest Service, FPL-GTR-147
・Mattheck, C.G. & Bethge, K.A. (1993) Detection of decay in trees with the Metriguard Stress Wave Timer. Journal of Arboriculture 19(6): 374–378
・小林元・古賀信也・岡野哲郎・田代直明 (2008) 応力波伝播速度測定によるカラマツ生立木の非破壊腐朽診断──九州大学北海道演習林と信州大学野辺山ステーションにおける調査事例. 樹木医学研究 12(3): 119–124
・Wang, X. & Allison, R.B. (2008) Decay detection in red oak trees using a combination of visual inspection, acoustic testing, and resistance microdrilling. Arboriculture & Urban Forestry 34(1): 1–4
・Mora, C.R., Schimleck, L.R., Isik, F., Mahon, J.M. Jr., Clark, A. III & Daniels, R.F. (2009) Relationships between acoustic variables and different measures of stiffness in standing Pinus taeda trees. Canadian Journal of Forest Research 39: 1421–1429
・Amateis, R.L. & Burkhart, H.E. (2015) Use of the Fakopp TreeSonic acoustic device to estimate wood quality characteristics in loblolly pine trees planted at different densities. Proceedings of the 17th Biennial Southern Silvicultural Research Conference, e-GTR-SRS-203: 519–523
・福井県「福井の気候・風土で生育した特定苗木等の強度性能の解明(R6〜9)」(PDF)
樹木診断機器(ピカス・レジ・アーボソニック3D)の記事
機器の解説・導入・研修
・ブルートゥースキャリパー(Fakopp Bluetooth Caliper)の役割と測り方──センサーどうしの距離で幹の形を登録する道具を、校正から太い幹の測り方まで樹木医が解説
・アーボエレクトロ(ArborElectro)の仕組みと測り方──電気の通りやすさで幹の断面を描き、腐朽の初期を探るインピーダンストモグラフを樹木医が解説
・アーボソニック3D(ArborSonic 3D)の仕組みと得られる結果──センサーの数、測れる太さ、断面画像と安全率の読み方を樹木医が解説
・ファコップ社とは──アーボソニック3Dをつくるハンガリー・ショプロンの樹木診断機器メーカーと、製品の全体像を樹木医が解説
・IML社の樹木診断機器の点検・校正とセミナー──連載のまとめとして、外観診断から総合判定までの流れで機器の使いどころを樹木医が解説
・IML社の樹木診断機器のソフトウェアとクラウド──IML Tree InspectionとPD-Tools Proで、測ったデータを診断の材料にする方法を樹木医が解説
・フラクトメーター(IML Fractometer)の仕組みと考え方──成長錐で抜いた木材の芯を折り、腐朽による強さの低下と壊れ方を読む方法を樹木医が解説
・マイクロハンマー(IML Micro Hammer)の仕組みと使いどころ──幹の2点間を音が伝わる時間で内部を推し量る予備調査の機器を樹木医が解説
・テンション(PiCUS Tension)の仕組みと使いどころ──土の水の取りにくさをpFで記録し、植栽直後の潅水を判断する方法を樹木医が解説
・ツリーモーション(PiCUS TreeMotion)の仕組みと使いどころ──自然の風で根元の傾きを測り、根の支えを読む方法を樹木医が解説
・ツリーキネティック(PiCUS TreeQinetic)の仕組みと考え方──ロープで木を引き、根返りと幹折れの安全率を見積もる静的負荷試験(引張り試験)を樹木医が解説
・キャリパー(PiCUS Calliper 3)の役割と測り方──幹の形を三角測量で測り、断面画像の精度を上げる方法を樹木医が解説
・トロニック(PiCUS TreeTronic 3)の構成と測り方──電気抵抗で断面を描き、音波の画像と重ねて読む方法を樹木医が解説
・ピカス(PiCUS Sonic Tomograph 3)の構成と測り方──測定点の数、キャリパーの扱いを樹木医が解説
・IML-RESI FシリーズとMD300──ワックス紙に曲線を刻むレジと、手で感じる機械式の穿孔器を樹木医が解説
・IML-RESI PowerDrill(PDシリーズ)の機種とオプション──レジ(Resi PD)7機種の違いと選び方を、樹木医が解説
・IML社とは──レジ(Resi PD)とピカスをつくるドイツの樹木診断機器メーカーを、樹木医が解説
・レジ(Resi PD)の根株診断カルテの読み方 俯角40度・補正直径・未測定部分を、実際のカルテで樹木医が解説
・レジ(Resi PD)の診断カルテの読み方 実際のカルテで、9つの欄を樹木医が1つずつ解説
・樹木医は街路樹診断で何を見ているか(後編) 機器診断のt/R率と腐朽空洞率、総合判定、処置、フォローアップ診断
・樹木医は街路樹診断で何を見ているか(前編) 東京都の街路樹診断等マニュアルの流れで、樹木点検と外観診断の18項目を解説
・アーボソニック3Dの使い方を、道具から断面画像の色の見方まで──取扱説明書と現場の写真で樹木医が解説
・アーボソニック3Dとは何か 音で幹の断面を樹木診断する診断機器を、樹木医が一般の方向けに解説します
・レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か。樹木医がレジ(Resi PD)で幹の中を「針」で診る機器診断を、一般の方向けに解説します
・ピカス(PiCUS)とは何か。音波と電気抵抗で幹の断面を診る樹木診断機器を、樹木医が解説します
・樹木診断機器Resi PD500の「Overload feed motor」エラー 原因は針でも設定でもなく、テレスコープ内のサポーターの曲がりでした
・音で、樹木の中を視る 非破壊樹木診断機器「ドクターウッズ」
・樹木診断 無料モニター募集
・PiCUS(ピカス)導入のお知らせ 樹木診断(機器診断) 非破壊診断×微破壊診断で、樹木診断を世界水準へ
・樹木診断機器 IML社製 レジ(Resi PD)について
・樹木模擬診断研修会を終えて 人の眼 × 機械の眼が拓く、新しい都市樹木管理のかたち
・東京都「街路樹診断等マニュアル」の要点と、国土交通省の点検・診断の指針(案)──大型化・老木化する街路樹・公園樹木の管理を樹木医が解説
・樹木医がイギリスの樹木診断に学ぶ ― 都市の樹木を守るための対話と発見
機器診断の記録
・山梨県都留市・西涼寺様 樹木医による霊木ケヤキの樹木診断 ピカス・ツリートロニック・レジとドローンで診た結果と、残すための3つの対策
・埼玉県内の伝統校 樹木医によるクスノキ2本の機器診断 ピカスで幹の内部を診る
・樹木医が街路樹エンジュの樹木診断と伐採後の腐朽具合の答え合わせ
・山形県での出張樹木診断 樹木医によるピカス、レジでの診断検証
・診断した木を、その日のうちに伐る──ピカス・アーボソニック3D・レジを同一木のサクラで比べた「樹木診断機器比較研修会」千葉県習志野市
・都有施設80万本の樹木一斉点検 約14,000本(速報)の「異状あり」を、樹木医はどう読むか
・港区三田 薬王寺様の境内 樹木診断 地上と樹上、樹木医がふたつの視点で木の内側を読む
・砧公園で4回目の倒木 樹木医として思うこと
・【ツリーケア最前線】樹木医が語るレジ(Resi PD)診断とロープワークの統合 相模原市での樹木診断レポート
・樹木医による都内の学校施設でのサクラの樹木診断 豊島区
・学校施設 ケヤキなど樹木医診断 東京都
・公園樹木診断 樹木医による機器診断・根株診断(レジ) 東京都
・マンション内のイチョウ(銀杏) 樹木医診断(機器診断) 東京都大田区
・公園のサクラ(桜)を樹木医が樹木診断(機器診断)しました
・樹木医 保存樹木サクラ等 樹木診断 東京都杉並区
・学校施設内 桜(サクラ)樹木医診断 東京都
・銀杏岡八幡神社 台東区浅草橋 樹木医診断
・樹木医 サクラ樹木診断(機器診断・レジ)
・樹木医がマンション植栽の危険木調査を行いました
サービス
・樹木診断(ツリーリスクアセスメント部門)
・GREEN MANAGEMENT
※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は Frank Rinn 氏(ドイツ)の登録商標(製品は RINNTECH 社)で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。
※ この記事の製品名(Microsecond Timer、TreeSonic Timer、UltraSonic Timer、ArborSonic 3D、PiCUS)は、各社の商標または登録商標です。Bluetooth は Bluetooth SIG, Inc. の登録商標、Android は Google LLC の商標です。





















