麻布台ヒルズ(東京都港区麻布台)にある、フランスの高級ジュエリーブランド店のテラスで、定期の植栽管理を行いました。冬の間咲いていたサザンカとジャノメエリカから、春の花木へと季節が移る時期の記録です。
本日は麻布台ヒルズに入っています。フランスの高級ジュエリーブランド店のテラス植栽、定期管理メンテナンスの日です。
麻布台ヒルズは、「緑に包まれ、人と人をつなぐ広場のような街」をコンセプトに、約2.4haの緑を備えた街として計画されています(森ビル「麻布台ヒルズ」)。建築と植栽が対等に向き合い、人の動線と植物の気配が自然に交差する。その思想は、テラスひとつひとつの植栽計画にまで浸透しています。私たちが管理を担当しているこのテラスも、ブランドの世界観と麻布台ヒルズという場所の空気を同時に纏わなければならない。華やかさと静けさ、その両方が共存する植栽を、四季の移ろいのなかで表現すること——それが、ここでの私たちの仕事です。
冬を守り続けた花たちの退場
冬の間、このテラスを守り続けてくれていたのはサザンカとジャノメエリカでした。人通りが減り、冷たい風がビルの谷間を抜けていく季節にも、ひっそりと、しかし確かに咲き続けてくれていた。訪れる方のほとんどは気づかなかったかもしれません。けれど、管理に入るたびに、その静かな存在感に背筋が伸びる思いがしていました。
その花たちが、いま春の草花へとバトンを渡しています。テラスは一気に華やかな彩りに包まれました。

名残雪のなかから弾けるピンク
名残雪のように白く咲くユキヤナギのなかから、弾けるように現れるベニバナトキワマンサクのピンク。その姿は、眠りの間に力を蓄え、一気に目覚めたかのような、力強い生命の息吹を感じさせてくれます。麻布台ヒルズという場所は、ガラスとコンクリートの洗練された構造物に囲まれている分、植物が見せる色彩の変化がいっそう鮮烈に映ります。人工と自然のコントラストが、互いの存在を引き立てる。それは、この場所でなければ成立しない風景です。
季節が運んでくる、色の成熟
やがて季節が進むにつれ、この若々しく鮮やかなピンクは、少しずつ表情を変えていきます。夏へと向かいながら、深みのある紫や青へ。あるいは淡くやわらかな白みがかったピンクへ。色彩が成熟していく過程は、まるで人の感情や経験が年月とともに深みを帯びていくのと重なります。
このテラスの植栽計画では、その移ろいそのものを設計しました。春の勢い、夏の深み、秋の静寂、冬の余韻。ひとつの季節だけを切り取って美しいのではなく、通年で訪れるたびに異なる表情と出会えること。それが、植栽資産としてのテラスの本来の価値だと考えています。
植物の変化に、人生を重ねて
私たちの仕事は、水やりや剪定だけではありません。このテラスが語りかけているものを、途切れさせないこと。植物の変化を通して、訪れる方々が自分自身の人生の移ろいや成長と重ねてくださること——それが、植栽を管理させていただいている私たちの願いです。
麻布台ヒルズのような場所では、立ち止まる時間そのものが贅沢です。足早に通り過ぎる日常のなかで、テラスの植物がふと目に留まり、季節の移ろいに気づく。その瞬間が、ほんの少しでもウェルビーイングにつながるなら、この仕事に携わる意味があると思っています。
訪れてくださる方々にも、その想いを少しでも感じていただけましたらと、その願いを胸に、日々の管理を務めさせていただいております。
株式会社トシ・ランドスケープ
加藤バンジャマン正拓
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